洲崎すざき)” の例文
明治四十三年の九月に佃島に津波つなみが来た。京橋の築地河岸がし一体にまでその水は押上げたほどで、洲崎すざきや月島は被害がひどかった。
辰井の町子は、丁度その頃、始めて出来た飛行機にふり袖姿で乗せて貰って洲崎すざきの原に墜落したと云う事が新聞種になり、相当評判をつくった。
晩菊 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「はは、今の若い方にしちゃあお珍らしい。帰りは洲崎すざきへでもお廻りですか」と、老人は笑いながら云った。
都会育ちの美食家の父娘は、夕飯のぜんを一々伊勢丹いせたんとかその他洲崎すざき界隈の料理屋から取り寄せた。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そこで、地勢の関係かどうか知らないが、江戸へ飛んでくる鷲の類は、深川洲崎すざきの方面、または大森羽田の方面に多く、おそらく安房あわ上総かずさの山々から海を渡って来るのであろうと伝えられていた。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)