洞窟ほらあな)” の例文
胆吹の弥三郎よりも、もっと昔、この洞窟ほらあなの中に山賊がんでいたのです、大江山を追われた酒呑童子しゅてんどうじの一族が、ここを巣にしていたのです。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なかで一ばんおおきな彼方むこう巌山いわやますそに、ひとつの洞窟ほらあならしいものがあり、これにあたらしい注連縄しめなわりめぐらしてあるのでした。
「つまり、洞窟ほらあなが大事だからだ。洞窟に価値ねうちがあるからだ。で、その洞窟へ泥棒どもを侵入させないそのために、浮き岩なる物が作られたのさ」
そのしたうたがひもなき大洞窟おほほらあなで、逆浪ぎやくらう怒濤どたう隙間すきまもなく四邊しへん打寄うちよするにかゝはらず、洞窟ほらあななかきわめて靜謐せいひつ樣子やうすで、吾等われらあゆたびに、その跫音あしおとはボーン、ボーン、と物凄ものすごひゞわたつた。
「じゃ……」と、あとは、目まぜで、釘勘は委細かまわず先に立って洞窟ほらあなへ入る。と、そこに裸火はだかびを立って、なぐさみをしていた男どもが五、六人、ぜにの音をザラザラとさせて
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うす暗い洞窟ほらあなの中へ入った時、武田博士はうれしそうに眼をかがやかした。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
百里の遠き洞窟ほらあなの奧にや今は眠るらむ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
燧台の裏へ先廻りした金掘りの少年は、岩の間へ掛け渡した、半分は洞窟ほらあなになった小屋へ駆け込んで
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こう云いながらジョン少年は、湾をグルリと囲繞とりまいていた洞窟ほらあなの内壁を指差した。
ふいにおもてをあげて、洞窟ほらあなのような大床おおゆかの人影をみまわした。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると、大きな洞窟ほらあなが、ぽっかりと黒い口をあけている。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
百里の遠き洞窟ほらあなの奥にや今は眠るらむ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
洞窟ほらあなの中は夜であった。戸外には日光が溢れていよう、洞窟の中は薄暗かった。草の芽、木の芽、昆虫の卵、戸外では発育していよう、洞窟の中の生物といえば、年齢未詳の月子ばかりであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大きい洞窟ほらあなは一つでなく、もう二つあった。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
「この下は、洞窟ほらあなだ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
洞窟ほらあなの中から師匠三太夫の呼び声がする。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「恐らく洞窟ほらあなでもあるのだろう」
昔ながらの洞窟ほらあなであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)