洛北らくほく)” の例文
「山吹も」の句は、洛北らくほくの貴船の宮のあたりにはまだ春の山吹が咲き残っているのに郭公の声が聞こえる、というのであります。
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
その時分は九月の入学であったが、七月の初め、私は帰省の途次、速水先生の紹介状を持って洛北らくほく田中村に西田先生を訪ねた。
西田先生のことども (新字新仮名) / 三木清(著)
こよいとりの下刻、当所を御出立、白河越え、洛北らくほく、亀山へ御帰国被遊あそばさる。御用意とどこおりなきように。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十津川とつがわの時の中山卿、朔平門外さくへいもんがいで暗殺された姉小路卿、洛北らくほくの岩倉卿、それらはたしかに公卿さんには珍しい豪胆な人に違いないが、この高村卿の突拍子には格別驚かされる。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兄の杏平きやうへいのうちは洛北らくほくも二里ばかり電車から先を歩かなければならない遠さなので、滞在中の宿には余り面白くない訳だつた。だと云つて、時子の宅も面白い訳ではなかつた。
曠日 (新字旧仮名) / 佐佐木茂索(著)
京都の空与上人くうよしょうにんをことの外御信心で、上人のため洛北らくほくに一宇の堂を建立するため、二千両の寄進に付きましたが、表沙汰になると、何かと手続きが面倒、そっと勘定奉行に内意を含め
今日の戦さの中心は洛北らくほくとのことで、それも次第に西へ向って、南一条大宮のあたりに集まってゆくらしいと申すのでございましたが、時刻が移りますにつれどうしてそんな事ではなく
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
五月十六日遠山雲如とおやまうんじょが京師の寓居ぐうきょに没した。享年五十四。『雲如先生遺稿』には洛北らくほく愛宕あたご郡浄善寺に葬るとしてあるが、『平安名家墓所一覧』には寺町今出川いまでがわ上ル上善寺としてあるそうである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今日の戦さの中心は洛北らくほくとのことで、それも次第に西へ向つて、南一条大宮のあたりに集まつてゆくらしいと申すのでございましたが、時刻が移りますにつれどうしてそんな事ではなく
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
洛北らくほく御霊林ごりょうばやしに火の手は上ったのでございます。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
洛北らくほく御霊林ごりょうばやしに火の手は上つたのでございます。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)