法蔵比丘ほうぞうびく)” の例文
運命をつくり出すと言ってもいい。法蔵比丘ほうぞうびくの超世の祈りは地獄に審判されていた人間の運命を、極楽に決定せられた運命にかえたではないか。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そこで阿弥陀如来が法蔵比丘ほうぞうびくの昔平等の慈悲に催されてあまねく一切を救わんが為に唱名念仏の本願を建てられたのである。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
けれど願いは大きいだけおそろしい。法蔵比丘ほうぞうびくの超世の願いは思えば想うほど畏ろしい。その願いを遂げるための水火の中での数えきれないほどのあの苦行を思うときに。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
法蔵比丘ほうぞうびくの水の中、火の中での幾万劫いくまんごうの御苦労はあまねく、衆生しゅじょうの一人、一人への愛のためだったのだ。聖なる恋は他人を愛することによって深くなるようなものでなくてはならない。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)