“油汁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
けんちん50.0%
あぶらじる50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大鍋の中の油汁けんちん沸々ふつ/\と煮立つて来て、甘さうなにほひが炉辺に満溢みちあふれる。主婦かみさんは其を小丼こどんぶりに盛つて出し、酒は熱燗あつかんにして、一本づゝ古風な徳利を二人の膳の上に置いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『今晩は何にいたしやせう。』と主婦かみさんは炉の鍵に大鍋を懸け乍ら尋ねた。『油汁けんちんなら出来やすが、其ぢやいけやせんか。河で捕れたかじかもごはす。鰍でも上げやせうかなあ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
塩引鮭の肉汁スウプといふのは、名前通りに塩鮭の切身をとろ火で煮出した汁である。手つ取り早く言ふと安官吏の油汁あぶらじるのやうに脂つ気の薄い、しよつぱい水気みづけ沢山たくさんなものだが、訥子は