河童がたろ)” の例文
銭湯日の丸湯と理髪店朝日軒の間のせまくるしい路地を突き当ったところの空地を凵の字に囲んで、七軒長屋があり、河童がたろ路地という。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
河童がたろ横町の材木屋の主人から随分ずいぶんと良い条件で話があったので、お辰の頭に思いがけぬ血色が出たが、ゆくゆくはめかけにしろとのはらが読めて父親はうんと言わず
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
河童がたろ横町はむかし河童かっぱんでいたといわれ、きらわれて二束三文にそくさんもんだったそこの土地を材木屋の先代が買い取って、借家を建て、今はきびしく高い家賃も取るから金が出来て
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
日の丸湯の主人というのは、先代より引続いて、河童がたろ路地の家主であり、横車ごりがんも通した。河童路地はただ裏ともいい、家賃は只同然にやすかったが、それさえ誰もきちんと払えた例しはなかったのだ。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)