水馬すいば)” の例文
場所も丁度ちょうど、この橋の川上だった。久しく打ち絶えていた水馬すいばの競技が、何年かぶりにまたもよおされることになって、平七もその催しにせ加わった。
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
二十騎ばかりの伴を連れて加茂川でひとしきり水馬すいばをやってから、一糸纒わぬすッ裸で裸馬に乗り、京の大路小路を練りまわしたうえ、悠然と敦賀へ下って行った。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「あるとも、水馬すいばさえ達者たっしゃなら、らくらくとこせるとろがある。ここだよ、おさむらいさん——」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二十騎ばかりの伴を連れて宇治の平等院でひとしきり水馬すいばをやったうえ、一糸纏わぬすッ裸で裸馬に乗り、京の大路小路を練りまわしたうえ、悠然と敦賀へ下って行った。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
彼の命令で、水馬すいばに自信のある者は、敵影のない深瀬のふちを通って馬を泳がせ泳がせ渡っている。——また一部の兵は、矢をくぐって、向う岸へかけあがり、阿修羅あしゅらの吠えを放ッていた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)