死骸しにがら)” の例文
夜半の満潮に打上げられた海藻の、重く湿ツた死骸しにがらが処々に散らばツて、さも力無げに逶迤のたくつて居る許り。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それを、七、八間、追い散らしていって悠々と戻ってきた由良の伝吉は、その時、はじめて新造の死骸しにがらから血刀を抜いて、身を起している一人の侍に不審の眼をみはったのである。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)