権田原ごんだわら)” の例文
主水は勘当になり、湯島のお長屋を出て青山権田原ごんだわらの借家に移った。竹の垣根に野菊が倒れかかり、野分のあとのものさびしい風情ふぜいをみせている。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
護送されたる一列の貧民は、果報つたなくして御扶持を頂くことを得ざりき。渠等かれらは青山の僻地へきちなる権田原ごんだわらにて放鳥はなしどりとなりぬ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
殊に権田原ごんだわらの広い野原を近所に控えている此処らは、木枯らしと云いそうな西北の風が身にしみた。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
権田原ごんだわらの奥方は、美人でいらっしゃるには相違ないが、権があり過ぎて親しみがない。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その不自由な足をひきずりひきずり、権田原ごんだわらを抜けて、四谷のあかりの方へ歩いた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長井の赤土山について安珍坂あんちんざかをおりたとすると、青山一丁目権田原ごんだわらの木戸。