楓林ふうりん)” の例文
「成程な、楓林ふうりんが雜草畑になつて、眞柏しんばくは伸び放題、——まるではうきだ。おや/\惜しい松を枯してゐるね、二三百年も經つた樹だらうが」
この日、霧はやがて冷たい細雨と変り、県境の長い楓林ふうりんの道は、兄弟の范陽笠はんようがさ旅合羽たびがっぱをしとどに濡らした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なるほどな、楓林ふうりんが雑草畑になって、槙柏しんぱくは伸び放題、——まるでほうきだ。おやおや惜しい松を枯らしているね、二三百年も経った樹だろうが」
尊氏が黙って人なき楓林ふうりんの中へ歩いてゆくと、その者もすぐあとを追って来た。一色右馬介なのだった。
丹精した朝顏がお仕舞になつて、貧乏臭い鉢植の楓林ふうりん仕立が色づくと、平次の庭も何んとなく秋さびます。
平次はそう言いながら、楓林ふうりん仕立ての盆栽の邪魔な枝を一つチョンとりました。
平次はさう言ひ乍ら、楓林ふうりん仕立ての盆栽ぼんさいの邪魔な枝を一つチヨンとりました。