ほこだち)” の例文
卑弥呼は長羅の腕の中から、小枝を払ったほこだちの枝に、上顎うわあごをかけられた父と母との死体が魚のように下っているのを眼にとめた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
或る日、一人の若者が、王宮の門前のかやほこだちを見ると、疲れ切った体をその中へ馳け込ませてひとり叫んだ。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
やがて、琴と笛と法螺ほらとがゆるやかに王宮のほこだちの方から響いて来た。十人の大夫だいぶ手火たびをかかげて白洲の方へ進んで来た。続いて、はたぼこを持った三人の宿禰すくねが進んで来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)