ばち)” の例文
彼が右手にもったばちで太鼓の皮をドーンと叩くと、胴の上に設けられてある小さいあなから、蠅が一匹ずつ、外へ飛び出す仕掛けになっていた。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
すると、たつはいきなり私の大きな太鼓を引きずり出し、足を男のように踏み開き、ばちを振り上げて、勢よく打ち鳴らす。
澪標 (新字新仮名) / 外村繁(著)
声に応じて眷族の一人——とびの七九郎という男が、用意してあったかねを取るや、ばちさばき荒く打ち鳴らした。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
声に応じて大蔵ヶ谷右衛門は、大鉞を抛り出し、かたわらの陣鉦じんがねをムズと掴み、突っ立ち上がると見る間もなく、兵法に叶ったばちさばき、哈々ごうごうと鉦を打ち鳴らした。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)