重衡が京へ来た時、いろいろと昔の恩を忘れずに仕えて呉れた木工右馬允知時むくうまのじょうともときは、この日も、最後を見届けようと、馬をとばしてかけつけてきた。
重衡が、かつて召し使っていた家来の中に、木工右馬允知時むくうまのじょうともときという男があった。