景親かげちか)” の例文
相模国の住人、大庭おおばの三郎景親かげちかが関東八カ国随一の馬として献上したもので、黒い毛並だが額が少し白い、そこで望月もちづきと呼ばれた名馬である。
ほこるではござりませぬが、千坂は、祖先千坂景親かげちか以来、お付家老を命じられ、社稷しゃしょくの存亡にもかかわる大事の場合は、上杉家の太守とも同等の権をもって危急をはかるべしと
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高松の城についで頑強と思われたのは、日幡ひはたの城である。ここには城兵が千余人もたてこもり、中国の豪将日幡景親かげちかがおり、また軍監ぐんかんとしては、毛利家の一族上原元祐うえはらもとすけがこれをたすけていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相模国の住人大庭三郎景親かげちかが、福原へ差し向けた早馬のもたらした報告は、新都を着々建設して、平家独裁の政府を樹立し一門繁栄の夢をむさぼろうとした平家にとって、驚くべき報告であった。
「思慮の乏しい日幡景親かげちかどのと共に惨敗を喫するよりは、むしろ……と」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中国の豪勇日幡景親かげちかが主将として坐り、その軍監ぐんかんとして、毛利元就もとなり妾腹しょうふくのむすめむこ、上原元祐もとすけが彼をたすけているかたちだが、一方は毛利の外戚がいせき、一方は剛骨ごうこつな勇将、こうふたりが一城にあって
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)