敬太郎けいたろうのこの傾向は、彼がまだ高等学校にいた時分、英語の教師が教科書としてスチーヴンソンの新亜剌比亜物語しんアラビヤものがたりという書物を読ました頃からだんだん頭を持ち上げ出したように思われる。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)