撫子とこなつ)” の例文
竜胆りんどう撫子とこなつでございます。新夫人にいおくさまの、お心が通いまして、折からの霜に、一際色がえました。若様と奥様の血のおもかげでございます。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「貴方、その欄干にかかりました真蒼まっさおな波の中に、あの撫子とこなつの花が一束流れますような、薄い紅色の影の映ったのを、もしか、御覧なさりはしませんか。」
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白衣びやくえかすかに、撫子とこなつ小菊こぎくの、藤紫地ふじむらさきぢ裾模様すそもやう小袖こそでを、亡体ばうたいけた、のまゝの、……友染いうぜんよ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)