接吻キス)” の例文
待って、と言う間もなく、少年は身をかがめて犬に接吻キスしたかと思うと、すばやくドアを閉め、闇の中へ走り去ってしまいました。
馬車の中のクルウ大尉も、ふり返っては手を振り、もうたまらなくなったというように振った自分の手を接吻キスしていました。
彼等は決して接吻キスしないものとされている。お母さんが自分の子に接吻するのさえ珍しいが、それとても、鼻を子供の首にくっつける位である。
おびただしい視線の焦点に、ぼうと上気して倒れそうな彼女が、胸のカアネエションに接吻キスして、下の闘牛士へぽんと投げる。
小県は草に、ふせかまえを取った。これは西洋において、いやこの頃は、もっと近くでるかも知れない……爪さきに接吻キスをしようとしたのではない。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神田の宿へ戻って長く忘れずにいるあの旧い接吻キスを考えた時は、山本さんは泣くことも出来ないほど悲しく成った。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私は彼の前にび上つた。そして私を迎へる心をこめた接吻キスを受けた。思ひ上つた勝利感、それを私は出來るだけのみ込んだ。彼は喜びを抑へて訊ねた。
「あたしが死んだら、あたしの額に接吻キスしてやると、約束して下さい。……死んでもわかるでしょうから。」
「春の神祕ミステリー・オブ・スプリング」でも、「ロメヲ・エンド・ヂュリエット」でも、「フランチイスカ・ボール」でも、「接吻キス」でも、其題目は非常にデリケートなものであるに拘らず
彫刻家の見たる美人 (旧字旧仮名) / 荻原守衛(著)
「この聖書は接吻キスして宣誓するにゃまだ役に立っだろうね?」
接吻キスをしようと詐欺をやらうと
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
わが生の第一の接吻キス
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
アロアはうれしさのあまり、父親に接吻キスして、大きな膝からすべり落ちるか早いか、ドアの方ばかり、見守っている犬の許にかけて行って
世には演劇しばいの見物の幹事をして、それを縁に、俳優やくしゃ接吻キスする貴婦人もあると云うから。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は、どうしても、ヘレンに逢はなければならなかつたから——どうしても、彼女が死ぬ前に彼女を抱きしめて、最後の接吻キスをし、最後の言葉をかはさなければならなかつたから。
山本さんはひとりで手をんだ。そして、すこし紅く成った。何故かというに九年も前の話だから……しかも十七ばかりに成る、妹のような娘から、たった一度の接吻キスを許されたのだから……
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
父はセエラがあまりませたことをいうので、笑って、そして彼女に接吻キスしました。父はその実ちっとも諦めてはいなかったのでしたが、セエラにそうと知らしてはならないと思いました。
ジャズのレコオドをかけて「甘い接吻キスほどあとが苦いよ、O! BOY!」
字で書いた漫画 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
月と瓦斯との接吻キス
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
たとえひどく空腹をかんじ、足のいたみがひりひり痛むことがあっても、おじいさんの親切ないたわりと、少年のやさしい接吻キスとは、すべての苦痛をおぎなって余りあるのでした。
それにもイダルゴは一々答えて、何度も何度も舞台へ現れて接吻キスを投げた。微笑を送った。そして、そのあいだ中イダルゴの全身には、瀕死の恋人を思う涙血が沸々ふつふつと煮え立っていたのである。
ガヤガヤガヤガヤ夕方まで騒いでいた鳥が、皆な何処へか飛んで行って了うと同じで、後に成って見ると一羽も彼の胸には留っていなかった。唯……九年も前の、それも唯一度の接吻キスが残った……
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二人は抱き合って、もう離さないというような接吻キスをしました。
同時に蓄音機は大声を発して、「甘い接吻キスほどあとが苦いよ。」
字で書いた漫画 (新字新仮名) / 谷譲次(著)