“捻曲（ねじま）” の例文
……与一兵衛じゃあるめえし、汝（てめえ）、定九郎（さだくろう）のように呼ぶなえ、と唇を捻曲（ねじま）げて、叔父さんとも言わせねえ、兄さんと呼べ、との御意だね。
歌行灯 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
この小さな食い違いが正吉の運命を捻曲（ねじま）げる因であった、そしてすっかり自棄（やけ）になっているところへお紋が現われた。
お美津簪 (新字新仮名) ／ 山本周五郎(著)
そして首を捻曲（ねじま）げたり肩を揺上げたり、両腕を振廻したりして、暫く筋肉の凝（こり）をほぐしてから、ふと思出したように旅嚢を引寄せ、乾した棗（なつめ）の実を二つ三つ取出して口へ入れた。
松風の門 (新字新仮名) ／ 山本周五郎(著)