抽出ちゅうしゅつ)” の例文
自然がその奥深く秘めた神秘への人間の憧憬しょうけいの心が科学の心である。現代の科学は余りにもその最も悪い一面のみが抽出ちゅうしゅつされている。
原子爆弾雑話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
史料のせんさくとか、考証の抽出ちゅうしゅつなどは、専門家の助手でもそばにおけばよいだろうに、といってくれる人もある。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(特別の場合を除いては)個人の全面性格のある顕著な特性を任意に抽出ちゅうしゅつして、抽出しただけを始めから終まで貫ぬかして、作家にも読者にも都合のいい性格を創造したものであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)