手練手管てれんてくだ)” の例文
女が反対に自分から逃げようとすればするほど、女がしたわしくなるとかきいています。そこに手練手管てれんてくだとかいうものが出来るのでしょう。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
手練手管てれんてくだのかぎりをつくして、ひたすら左膳の意を迎え、心をとらえようと腕によりをかけだしたのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「お松さんにお竹さん、椎葺しひたけさんに干瓢かんぺうさんと…………手練手管てれんてくだ」が何ごとか知らぬその日の赤頭巾
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ほかは一切お断りのていで、旦那旦那と彼一人へ手練手管てれんてくだをつくしにかかったものだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世間の女はいろいろな手練手管てれんてくだを使って男を籠絡ろうらくするということは聞いている。
いかに手練手管てれんてくだを弄されても、身を投げかけることはしなかつたかも知れない。
一の酉 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
俺より外の男には心を移さないと誓って呉れ……併し、あの女はどうしても私の頼みを聞いては呉れない。まるで商売人の様な巧みな嬌態きょうたいで、手練手管てれんてくだで、その場その場をごまかすばかりです。
白昼夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
極めて低劣な手練手管てれんてくだにして、体裁だけは高尚がっておりました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おいらんの手練手管てれんてくだと一笑に付しては可哀そうだ。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)