この時慶勝はぎゃくを患い出馬することを得なかったので、二日の深夜その家老成瀬隼人正正肥なるせはやとのしょうまさみつに鷲津毅堂を随伴せしめ、越前宰相松平慶永の邸に赴き善後の策を講ぜしめた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)