慈愛いつくし)” の例文
だがそれにしても素姓の知れない彼のような山の子を、慈愛いつくしみ育てた養父の恩は誠に深いものである。しかるに彼はその養父を非業ひごうに死なせてしまったのである。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それは笹千代が男の子を儲けたことで、早速吉丸と名を付けて、宝の様に慈愛いつくしんだ。美しい女、不足無い衣食、そうして子さえ出来たので、心ゆくまでの大栄華に、彼は浸ることが出来たのである。
高島異誌 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)