おし)” の例文
彼は実に生をおしまざりしに非ず、欲せざりしに非ず、彼は惰夫だふが事に迫りて自らくびるるが如き者に非ず、狂漢が物に激して自ら腹をくが如きに非ず
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
かの魚類といえども生命をおしむの情に至っては人間と同じ事である。もしあなたの失うた愛児を悲しむの情が真実であるならばなぜかの残忍なる網打を止さないか。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
古今万国、その例少なからず。ゆえに今、我が邦にて洋学校を開くは、至急のまた急なるものにて、なお衣食の欠くべからざるが如し。公私の財をついやすもおしむにいとまあらず。
唯今日がある、刹那せつながある。彼等は神を恐れない。王者おうしゃを恐れない。名聞みょうもんを思わない。彼等は失うべき富もない。おしむ可き家族も無い。彼等は其れより以下に落つ可き何等の位置も有たない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)