恁許かばか)” の例文
函館に来て、林なす港の船のほばしらを見、店美しい街々の賑ひを見ただけの人は、いかに裏浜とはいひ乍ら、大森浜の人気無さの恁許かばかりであらうとは、よも想ふまい。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
恁許かばかり悠然した心地は渠の平生に全くない事であつた。顔には例の痙攣も起つて居ない。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)