御身上おみのうえ)” の例文
何程、世間の奥様が連添う殿方に解りましょう。——女の運はこれです。御縁とは言いながら、遠く御里を離れての旅の者も同じ御身上おみのうえで、真実ほんと同情おもいやりのあるものは一人も無い。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ひとから内証を打開うちあけられた時ほど、是方こっちの弱身になることはありません。思いつめた御心から掻口説かきくどかれて見れば、しまいには私もあわれになりまして、染々しみじみ御身上おみのうえを思遣りながら言慰いいなぐさめて見ました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)