御立腹ごりつぷく)” の例文
中間ちうげん七助と云ふ者先刻せんこくより此樣子を見てこゝろ可笑をかしく走り出で主人をとゞ先々まづ/\御待下おんまちくださるべし只今彼方にて承まはりしが御立腹ごりつぷく御道理ごもつともなり然しながら女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はからず放免はうめんおほつけられ、身に取りまして大慶至極たいけいしごく、誠に先頃さきごろ御無礼ごぶれい段々だん/″\御立腹ごりつぷく御様子ごやうすで。
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
昨日きのふ我々われ/\那麼あんなはなしたのですが、なににはか御立腹ごりつぷくで、絶交ぜつかうすると有仰おつしやるのです、なにれともさはることでもまをしましたか、あるひ貴方あなた意見いけんはんかんがへしたので?』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
どんな大至急だいしきふ要用えうようでもふうといふをつたことく、つまとは木偶でくのばうがお留守居るすゐしてるやうに受取うけとり一通いつゝう追拂おひはらつて、それは冷淡れいたんげていたものなれば、旦那だんなさまの御立腹ごりつぷくはでものこと
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
頼むサア/\山崎町へ行油屋へ押込おしこんで遣らんと云故長兵衞と久五郎の兩人ははなは心配しんぱいなし先生せんせい貴公あなた御氣象ごきしやうでは御立腹ごりつぷくなさるゝも御道理ごもつともなれど先々よく咄合はなしあふて大ぎやうにならぬ樣に懸合かけあふが宜しく何れにも明日の事に致すつもりなればかく御鎭おしづまり下されよと漸々になだめけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此家このやうち一人ひとりもなし老婆ばあさまも眉毛まゆげよまれるなと憎々にく/\しくはなつて見返みかへりもせずそれは御尤ごもつとも御立腹ごりつぷくながられまでのことつゆばかりもわたくしりてのことはなしおにくしみはさることなれど申譯まをしわけ一通ひととほりおあそばしてむかしとほりに思召おぼしめしてよと詫入わびいことばきもへずなんといふぞ父親てゝおやつみれは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よめになどゝはおもひもらぬことなり芳之助よしのすけもあれゆるさずと御立腹ごりつぷく數々かず/\それいさゝかも御無理ごむりならねどおまへさまとえんきれて此世このよなんたのしからずつらき錦野にしきのがこともあり所詮しよせん此命このいのちひとつぞと覺悟かくごみちおなじやうに行逢ゆきあつておまへさまのおこゝろうかゞへば其通そのとほりとか今更いまさら御違背ごゐはいのあるはずなしわたしうれしうぞんじますを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
商賣の事ゆゑいとひませんがもし内儀おかみさん承まはるも餘り率爾ぶしつけながらよくきふに金子が出來ました尤も外より御融通ごゆうづうなされたとか仰せなれども金子かねと云ふものは勿々なか/\容易よういには調とゝのひ難きもの最早もはやすみし事ながらすでに流れ買に賣拂はんとする處なりしが彼金あのかね何處どこから御融通なされしにやちと申しにくき事なるが御立腹ごりつぷくなさるな内儀樣おかみさん一文もらひ袖乞そでごひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)