御宿おんやど)” の例文
お気の毒だが平次殿、しばらくここへ泊っては下さらぬか、銭形の親分御宿おんやどと聞いたら、石川五右衛門いしかわごえもんでも寄り付くことではあるまい
すると比較的寂しい横町のかどから二軒目に御宿おんやどという看板が見えた。これは三四郎にも女にも相応なきたない看板であった。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幕府への遠慮から、駅長としての半蔵は家の門前に「武田伊賀守様御宿おんやど」の札も公然とは掲げさせなかったが、それでも玄関のところには本陣らしい幕を張り回させた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
唯一の旅人御宿おんやどホテル・パブストのまえに村ぜんたいが押しあいへし合い、気味わるそうに凝視し批評しにやにやし、おい、おれにもすこし見せろ、だの、やあ、何か饒舌しゃべってらあ
踊る地平線:04 虹を渡る日 (新字新仮名) / 谷譲次(著)