小宮山は切歯はがみをなして、我赤樫あかがしを割って八角に削りなし、鉄の輪十六をめたる棒を携え、彦四郎定宗ひこしろうさだむねの刀を帯びず、三池の伝太光世みつよ差添さしぞえ前半まえはん手挟たばさまずといえども、男子だ、しかも江戸ッ児だ
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)