幻想的ファンタスチック)” の例文
それさえすでに幻想的ファンタスチックであるのに、招かずして来った憧れの王様は、わずか二十分ほどの間にまたチョロリといなくなってしまった。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
法水は、あたかもこの事件が彼自身の幻想的ファンタスチックな遊戯ででもあるかのように、吐き続ける一説ごとに、奇矯な上昇を重ねてゆく。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
幻想的ファンタスチックな事件ですからなあ。わたしはつぎの時まであずけておこうと思ったんだが、どうもあなたは死人でも怒らせる腕を持っていらっしゃる……じゃ、行きましょう。
ホフマンの「カロオ風の綺談」でもあるまいし、二人の警視総監が東京の中央と南に同時に出現したなどというのは、あまりに幻想的ファンタスチックでちょっと信用しにくい。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
だから、あの風精ジルフスのユーモアは、今のような論理追求だけでひしゃげてしまうようなしろものじゃない。きっと水精ウンディヌスなどとは似ても似つかぬほど、狂暴的な幻想的ファンタスチックなものに違いないのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
元来ロシア人てやつはね、アヴドーチャ・ロマーノヴナ、ちょうどその国土と同じように広漠とした人間で、幻想的ファンタスチックなだらしのないことにひきつけられる傾向を、やたらに持っているんです。
市井の一雑報記者が一国の皇帝に間違われたなどというのは、その事すでにあまりに幻想的ファンタスチック、聡明な読者諸君にこれを事実と納得させることはなかなか困難なようである。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
だから、ブレーク、ベックリン、ロセチ、それにドーレの『失楽園』や、キャメロンの『水神アンディーン』、『ニーベルンゲン譚詩リード』のデイリッツなど——ああした、すこぶる幻想的ファンタスチックな挿画を見るとだね……
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)