布告ふこく)” の例文
みると、宿役しゅくやく布告ふこくや、何者かの人相書や、雑多なものがベタベタとりつけてあるが、目につくのはそのわきに、別に立っている生新しい一本の立札。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういって、わが護衛司令官は布告ふこくをしたが、それもいい加減かげんの対策だったことが、間もなく判明した。
それを随時随所に突破して、この幻怪な犯罪は当局を愚弄ぐろうするように連続的に行なわれるのだ。しかも犯人は、不敵にも堂々と宣戦布告ふこく的な態度を持続している。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
軍政時代に軍人が建てたものだからかなり立派にできている代りにすこぶる殺風景さっぷうけいである。入浴時間は十五分をゆべからずなどと云う布告ふこくめいたものがまだ入口に貼付けてある通りの構造である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
したがって既に発表しましたプログラムは、すべて中止となりましたので、あしからず御承知を願います。それでは唯今より、東京警備司令官別府べっぷ大将の布告ふこくがございます
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
華燭かしょく祝典しゅくてんは、血の祭典に変じて、布告ふこくなしの戦争状態にはいった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)