当然皇位にき給ふべき御方である聖徳太子の御子たる山背大兄王やましろのおほえわうを斥け奉り、入鹿は遂に大兄王の御即位は、蘇我氏の滅亡を意味するものと考へ、皇極くわうぎよく天皇の二年大兄王を襲ひ奉つた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)