尖端はし)” の例文
現に兇行用のものに相違ない、尖端はしに血の附いた仕事用の鉄槌が、おやじの右脇に在る粗末な刻みの煙草盆の横に転がっていた。兇行後、無造作に投出して行ったものと認められた。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、美奈子は顔を上げて、相手の顔を、ぢつと見詰めるだけの勇気はなかつた。車台の床に投げられてゐる彼女の視線には、青年が持つてゐる細身の籐のステッキの尖端はしだけしか映つてゐなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
が、美奈子は顔を上げて、相手の顔を、じっと見詰める丈の勇気はなかった。車台の床に投げられている彼女の視線には、青年が持っている細身のとうのステッキの尖端はしだけしか映っていなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)