媒介人なこうど)” の例文
婚礼の日にも、お庄は母親と一緒に、昼間から従姉あねの家に行っていて、そこから媒介人なこうど夫婦と浅山夫婦とが附いて行くことになった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その媒介人なこうどはかの高巌寺の住職で、話はもう半分以上まで進行したときに、今度は思いもよらない不運がかれの上に落ちかかって来た。
半七捕物帳:24 小女郎狐 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこで酒宴が開かれますと、花聟の阿父おとっつぁん阿母おっかさんは花聟および花嫁媒介人なこうどならびに送迎人らに対して例の一筋ずつのカタを与える。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
貴公今の婦人に手蔓てづるが有るなれば話をして、拙者の処の妻にしたいが、何うだろう、話をして貴公が媒介人なこうどにでも、橋渡しにでもなって、貰受もらいうけて呉れゝば多分にお礼は出来んが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
媒介人なこうどは断るぜ、照陽女学校の教頭じゃないんだから。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お庄はその顔を見ることすら出来なかったが、べろべろに酔っていることだけは、媒介人なこうどに引っ張られて入って来た時の様子でも解った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
まずその娘の父母はいつ頃花聟さんの方から媒介人なこうどが出て来るであろうとちゃんとおもんぱかって居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
わたくしは連れて参ります、媒介人なこうどは有りますが、まだ結納の取替とりかわせも婚礼も致しません、只許嫁のよしみで病気中看病に遣しただけです、合せ物は離れ物だから私は上げる気は有りません
「……少し媒介人なこうどだまされたようですよ。」と、お庄は帯の間から莨入れを取り出して、含嗽莨うがいたばこをふかしながら言い出した。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それはさておいてまず娘は何も知らずに今日は遊びに行けるというので大悦びで、頭の毛を洗い古いくしで頭の毛を非常によくいて居ると、時分を計らって媒介人なこうどが出て来ます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
見合いは媒介人なこうどの家でしたのでしたが、私は目をつぶって、その人と結婚することに決心しました……。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「……媒介人なこうどの無責任から、話に少し行違いが出来たのだそうでございます。そんな財産家のうちへ、私を世話しようとしたのが、頭から間違っていたのです……。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)