太刀筋たちすじ)” の例文
宝蔵院のやり、柳生流の太刀筋たちすじをことに精出して学んだとはいうが、誰も丹後守と試合をした者もなし、表立って手腕をあらわした機会もないから
決して正眼だの中段などという事はない、唯双方相上段に振上げて斬ろう/\と云う心ですきうかゞう、水司又市もまなこは血走って、此の小娘こあま只一うちと思いましたが、一心った孝女の太刀筋たちすじ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もうひとつ、数多い修業者のなかにはときに、太刀筋たちすじを教えてくれ、とせがむ者がある。そういう者が来たときのために、といって、前庭のおおきなかやの樹の枝に、飯篠老人は一本の木剣をった。
似而非物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「関東にはお聞き及びもござるまいが、薩州伊王ヶ滝の自源坊より瀬戸口備前守びぜんのかみが精妙を伝えし誉れの太刀筋たちすじ
その太刀筋たちすじがよくわかる時と、まるっきりわからないことのあるために、煮え切らない、腑甲斐ふがいのない、ふんぎりのつかない、なまくら者にされてしまうことが
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)