地曳じびき)” の例文
二人ふたりはすでにかわける砂を踏みて、今日のなぎ地曳じびきすと立ち騒ぐ漁師りょうし、貝拾う子らをあとにし、新月なりの浜を次第に人少なきかたに歩みつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
二つ目の浜で、地曳じびきを引く人の数は、水を切った網のさきに、二筋黒くなって砂山かけてはるかに見えた。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時は折悪おりあしく、釣船も遊山船ゆさんぶねも出払って、船頭たちも、漁、地曳じびきで急がしいから、と石屋の親方が浜へ出て、小船を一そう借りてくれて、岸を漕いでおいでなさい、山から風が吹けば
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)