蔵前の違棚の前に、二人の唐縮緬友染めりんすゆうぜんの蒲団が設けてあったが、私と肩を別つようにして、八郎が階子段はしごだん下の小間こまへ入った。大方そこで一拝に及んだのであろう。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)