含味がんみ)” の例文
そして、厚く褒美をやれと命じ、その覚束おぼつかない敵状資料をつぶさに含味がんみして、何か、彼としては充分に、得るところはあったらしい。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また伊藤公にとりてはこの一言を含味がんみしうるだけの素養がすでに胸中にあったから、その決心は一時の感情のごとく見えながら、しかもその実
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
剣法の示唆より、幾分か十兵衛の心懐を歌ったに近いが、含味がんみしてゆかしい趣のふかい歌だと思う。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文辞は非常にかたいようだが、含味がんみしてみると、用語、また前後の関係など、彼と有馬直純とが、決して、一朝一夕の知人という間がらではないことが、自ら頷けてくる。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五輪書や独行道どっこうどうぐらいを含味がんみして、剣道初期の剣人の中では、最も心境の高いところへ行った人間と考えていた程度で、座談会で武蔵を支持して云ったのも信念ではなくて
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)