“向河岸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むこうがし70.0%
むかうがし30.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私の今住んでいる向島むこうじま一帯の土地は、昔は石が少かったそうである。それと反対に向河岸むこうがしの橋場から今戸いまど辺には、石浜という名が残っている位に石が多かった。
梵雲庵漫録 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
春「まアい、仕方がないが、家鴨しゃもばかりでは喰えねえ、向河岸むこうがしへ往って何かさかなを取って来たまえ」
河を隔てゝ向河岸むかうがしにゐる百姓と話をする百姓の真似をする物真似である。その為方しかたは隣の室に隠れて、口の前に布団をあてゝ、精一ぱい大声を出して饒舌しやべるのである。
向河岸むかうがしへつくと急に思出おもひだして近所の菓子屋くわしやを探して土産みやげを買ひ今戸橋いまどばしを渡つて真直まつすぐな道をば自分ばかりは足許あしもとのたしかなつもりで、じつ大分だいぶふら/\しながら歩いて行つた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)