合歓木ねむ)” の例文
旧字:合歡木
今宵十時よりお庭の合歓木ねむの蔭にてお待ち申し上げそろ、神ぞしろしめせ、おいでなくばこの命ひとつ今宵かぎりにそろ。
合歓木の蔭 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
乙女おとめたちの一団は水甕みずがめを頭にせて、小丘こやまの中腹にある泉の傍から、うたいながら合歓木ねむの林の中に隠れて行った。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
廊下のてすりから手の届くほど近いところには、合歓木ねむや藤が暗くおおかぶさっていた。しずくは葉を伝って流れた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「あれは合歓木ねむの木立でしたよ。そら、昼のうちは暗緑色の小葉こばを開いていて、夕方になると、眠るように葉の表面をとじ合わせて、白っぽい裏を出してしまう……」
闖入者 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
寝間をぬけ出た奈尾は、庭の片隅にある合歓木ねむのほうへ、静かにすべるように歩いていった。
合歓木の蔭 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)