勿忘草わすれなぐさ)” の例文
春竜胆はるりんどう勿忘草わすれなぐさの瑠璃草も可憐な花である。紫陽花あじさい、ある種の渓蓀あやめ、花菖蒲にも、不純ながら碧色を見れば見られる。秋には竜胆りんどうがある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
捨吉はその風琴の前に、以前の自分を見つけるような気がした——勿忘草わすれなぐさの花を画いて、それに学び覚えた英詩の一ふしなぞを書添えて彼女に贈った自分を。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
勿忘草わすれなぐさなど通俗めいているけれどもああいうところであなたは子供の時お遊びになったのでしょう? 何だかそれこれ思ったら子供らしい愛らしさがあって、その花をつまみました。
勿忘草わすれなぐさのような青い目をしたこの子供っぽいひとは、スイス人でなくて、たしかにアメリカ人なんだが、どんなことがあったって正常ノルマルなアメリカ人がこんなところでパイプをふかしているわけはない。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
勿忘草わすれなぐさのやうな
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)