出雲守いずものかみ)” の例文
出雲守いずものかみと対談していた万太郎は、やがて明るい顔をして、月江や金吾に何か言いおくと、飄然ひょうぜんとして奉行所の外へ出ました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……雲州様なら松江侯、すなわち松平出雲守いずものかみ様、出雲守様ときたひには、不昧ふまい様以来の風流のお家、その奥庭の結構は名高いものでございます。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ガヷナーが動いた上に宮地出雲守いずものかみと来たら、君としてこれ以上の陣立じんだてが望めるかい? 残余あとは単に時間の問題だよ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
金森家の瓦解に成りましてから、多く家来も有りましたが皆散り/\ばら/″\になりまして、嫡子出雲守いずものかみ、末の子まで、南部大膳大夫なんぶだいぜんだいふ様へお預けに成りました。
飛騨ひだ高山の城主、三万八千石金森出雲守いずものかみ様の御宝物、御祖先が太閤様から拝領して、千利休の掛け物まで添えてある、曙井戸あけぼのいどの茶碗に、近頃小さいながら傷が見えたので
大和守は、うしろを振向いて、北町奉行の中山出雲守いずものかみと、にが笑いを見あわせた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仮吟味かりぎんみの準備のために、与力や同心が狂奔きょうほんするかたわらには、奉行中山出雲守いずものかみが三家の若殿万太郎が不時の訪れに、その応接にも狼狽し、一方、役宅へ迎び入れた日本左衛門と金吾とには
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出雲守いずものかみも、何か一言、いわなければならない義理を、感じたように
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、佐々木六角は、自分の箕作城の守備を、吉田出雲守いずものかみにあずけ、自分は父のいる観音寺に合体して、そこを本営として、和田、日野その他、領土の塁濠るいごう十八ヵ所に、防禦の陣を遺憾いかんなくいていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)