劒の登山路の中で、兎も角も荷物を持って登れる路はこの外には無いのである。此尾根から初めて劒岳に登った人は冠松次郎かんむりまつじろう君で大正六年の七月であった。
越中劒岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)