億生おくしょう)” の例文
この時代、ひとり頼朝のみではないが、自己の手脚の主体を知りながら、同根億生おくしょうの主体たる国土には深く思い至らなかったうらみがある。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見せてしもうた。……わしなどはすでに老朽の身だが、頼むのは、貴公たち将来のある青年へだ。……どうか億生おくしょうの民草のために、頼むぞ劉備
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸民にい、自身は、法の及ばない法以上の上に棲んで、十数年の長きにわたり、億生おくしょうの人々を苦しめた一世代の政罪は、年月のふるほど、慄然りつぜんたる結果を見せている。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もしこのお二人が、真に、心を一つにし、利害を、ただ地上人間の億生おくしょうにだけ置いてくだされば、文句なしに、世は泰平のはずですが、自分の思うには、かなしいかな、その逆だとしか信じられません
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この一身を人間億生おくしょうのために捧げてしまいたいのです。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)