偃月えんげつ)” の例文
しかもその手に抱えているのは、主人潘璋が、関羽を討ったとき功によって呉王から賜った、関羽が遺愛の有名なる偃月えんげつの青龍刀だ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道服を着た医師くすしめいた男が、盆の上に整然と並べられている、小刀メス小槌こづち小鋸このこぎり生皮剥なまかわはぎの薄刃物、生き眼刳りの小菱鉾こびしぼこ生爪なまづめ剥がしの偃月えんげつ形のきり、幾本かの針といったような物を
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そういうと、関羽は、小脇にしていた偃月えんげつの青龍刀をさしのべてその薙刀形なぎなたなりの刃さきに、錦の袍を引っかけ、ひらりと肩に打ちかけると
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関羽が左のひじ矢瘡やきずは、いまは全く癒えたかに見えるが、その手に偃月えんげつの大青龍刀を握るのは、病後久しぶりであった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戛然かつぜん——。関羽の偃月えんげつの柄と交叉して、いずれかが折れたかと思われた。逸駿赤兎馬は、主人とともに戦うように、わっと、口をあいて悍気かんきをふるい立てる。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関羽はみずから赤兎馬をひきよせて打ちまたがり、手に偃月えんげつの青龍刀をかかえていた。そして、車の露ばらいして北の城門から府外へ出ようとそこへさしかかった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の偃月えんげつの青龍刀も、黄忠の大刀に逆らわれては、如何とも敵の体へ触れることができなかった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのすがたにぶんと風を生じたかと思うと、漆艶うるしつや黒鹿毛くろかげと、陽にきらめく偃月えんげつの青龍刀は
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして周倉に持たせておいた偃月えんげつの青龍刀を引ったくるように取ると
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
偃月えんげつの青龍刀は、またしても風を呼び、血を降らせた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
偃月えんげつの青龍刀は、ぶうっん、顔良へ落ちてきた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)