便宜上べんぎじょう)” の例文
ここまで進んだ結果時間と云うものを抽象して便宜上べんぎじょうこれに存在を許したとの意味にほかならんのであります。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれど、彼とは親戚の伊丹の白銀屋を、同志の足溜あしだまりの隠れ家とする便宜上べんぎじょう
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは彼が便宜上べんぎじょうこしらえた創作的観念であって、実在ではなかった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
便宜上べんぎじょう見取図の方から説明すると
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
して見ると普通に私と称しているのは客観的に世の中に実在しているものではなくして、ただ意識の連続して行くものに便宜上べんぎじょう私と云う名を与えたのであります。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
してみると空間というものも時間というものも因果の法則というものも皆便宜上べんぎじょうの仮定であって、真実に存在しているものではない。これは私がそう云うのです。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)