人面疽じんめんそ)” の例文
「誰か友だちを呼んで見せて、人面疽じんめんそが出来たと巫山戯ふざけてやろう」鼈四郎が辞んでも彼は訊入ききいれなかった。鼈四郎は渋々筆を執った。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ただ父方の曾祖父が、お月様を猫に噛ませようと長い間努力して成功せず、疲労の結果、人面疽じんめんそにかかって死んだということがいささか注目に値するだけである。
二重人格者 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
谷崎潤一郎氏の「人面疽じんめんそ」はそのスリルをたくみに描きだして成功した作品であろう。かようにして、スリルは単なる感情から知識を加味したものに進み、やがて心理的な領域にはいっていく。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
谷崎潤一郎氏に人面疽じんめんそのことを書いた物語がある。
人面瘡物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)