種彦を先に種員と仙果は雷門を這入はいって足早に立並ぶ数珠屋じゅずやの店先を通過とおりす二十軒茶屋にじっけんぢゃやの前を歩いて行ったが、いつも五月蠅うるさいほどに客を呼ぶ女どもはやがて仁王門を這入った楊子店ようじみせも同じ事で
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)