不興気ふきょうげ)” の例文
旧字:不興氣
山ノ内総監も「分らない」という報告を聞いて不興気ふきょうげな顔をしてみせたが、さりとてこれがどうなるものでもなかった。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
綱利つなとしは彼の槍術を賞しながら、この勝負があったのちは、はなはだ不興気ふきょうげな顔をしたまま、一言いちごんも彼をねぎらわなかった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
家から十丁程はなれた塚戸つかどの米屋が新村入を聞きつけて、半紙一帖持って御用聞ごようききに来た時、彼はやっと逃げ出した東京が早や先き廻りして居たかとばかりウンザリしてはなはだ不興気ふきょうげな顔をした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
けれどもお駕籠訴の一件がありますから、右京殿は不興気ふきょうげに顔をそむけて居りますので、何がなんだか一向訳が分りませぬ。暫く無言でにらみ合って居ります内に、ちん/\とお退のお時計が鳴りました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一同が出て行ってしまっても、留五郎は不興気ふきょうげであった。
と医者が不興気ふきょうげな顔をした。
葛根湯 (新字新仮名) / 橘外男(著)