不如帰ほとゝぎす)” の例文
お宮、貫一などゝいふ名は、『不如帰ほとゝぎす』の武男、浪子に於けるが如く、人口に膾炙くわいしやしてゐる。
尾崎紅葉とその作品 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
諸新聞の批評も概して悪くない。甘い物にはちがひないが、これなら日本に移しても「不如帰ほとゝぎす」で廉価な涙を流させるより功徳の多い事だと思ふから一寸ちよつと簡単に僕の観た所を紹介しよう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
不如帰ほとゝぎすも可哀相どつせ。妾大好き。今度家から持つて来て貸してあげまつさ。」
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
徳冨氏の「不如帰ほとゝぎす」を脚色して始めて上演した時のこと、その大詰の「浪子臨終の場」の出来ごとなのですが、筋を少し書かないと模様がはつきりしないので、その一端を示すとしませう。
(新字旧仮名) / 喜多村緑郎(著)