嘗て彼が不來方城頭こずかたじやうとうに跪いて何か呟やき乍ら天の一方を拜んで居た事や、或る夏の日の眞晝時、恰度課業が濟んでゾロ/\と生徒の群り出づる時、中學校の門前に衞兵の如く立つて居て
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)